いざ転職活動を始めようと思っているが、「職務経歴書の書き方がわからない」、「何を書いたら良いかわからない、書ける内容がない」、「書類選考で落とされることが多い」と悩んでいる人は多いと思います。
この記事では、職務経歴書の書き方の考え方から実際の書き方までを解説しています。本記事の内容を実践すれば、あなたも書類選考に落ちない職務経歴書を仕上げることができます。
この記事はこんな人にオススメ!
- 転職活動を始めたが職務経歴書の書き方がわからず前に進まない
- 書類審査で落ちることが多く、職務経歴書を書くコツを知りたい
職務経歴書の構成と作成のポイント
職務経歴書の構成
職務経歴書の構成と内容は以下の通りです。
- 職務経歴概要:職務経歴の概要をまとめたもの(文字数目安:200-300文字)
- 得意分野/スキル:強みやスキルを整理し、各強み・スキルが具体的に活きたエピソードを交えて記載したもの(文字数目安:1,000文字以内)
- 職務経歴詳細:時系列にプロジェクト毎に職務経歴の詳細を記載(文字数目安:2,500文字)
- その他(あれば):その他特筆すべき成果、等(文字数目安:100文字)
人事担当者も暇ではないため、全体としては2~3ページ程度に纏めたほうが良いでしょう。「職務経歴概要」と「得意分野/スキル」を1ページ目でまとめ、「職務経歴詳細」と「その他」を2,3ページ目でまとめるくらいの配分で良いと思います。
職務経歴書の構成毎の記載ポイント(例文あり)
職務経歴概要(200文字程度)
あなたが過去にどのような業務、マネジメントを経験してきたのかを簡潔に説明する必要があります。在籍した会社ごとに以下のポイントを踏まえて記載しましょう。
- どのような業務を実施してきたか
- 主にどのような役割だったか(担当者か、リーダーか)
こちらはあまり成果や強みを訴求する必要はなく、基本的には「やってきた仕事」、「役割」を記載すれば良いです。
以下に記載例を示します。それぞれの要素ごとに対応する箇所を同一色でマークしています。
大学卒業後、X株式会社にて主に自動車販売の営業に従事。販売チームのマネージャとして5名程度のメンバーを取りまとめ、チームの営業目標設定・管理、チームメンバー育成に従事。その後、Y株式会社の営業戦略室にて自動車部品チームの担当者として営業プロセス改革を担当。顧客データ分析に基づく販売戦略立案、新たな営業効率化ツールの提案・導入を通じて営業部門の業務高度化・効率化に従事。(XXX文字)
得意分野/スキル(1,000文字)
あなたの得意分野/スキルが応募先企業にとって有益なものかどうかを判断する箇所です。自分が訴えたい得意分野/スキルを記載するのではなく、応募先企業が必要としている得意分野/スキルとなっているか?という観点で記載しましょう。また、得意分野/スキルの後には、その強みが発揮された具体的なエピソードを記載しましょう。
以下のポイントを踏まえて記載しましょう。
『得意分野/スキル』
- ヌケ・モレ・ダブリなく網羅的に記載すること
- バランス良く記載すること(汎用的スキル⇔専門的スキル、ハードスキル⇔ソフトスキル)
- 合計で3つ記載すること
『具体的なエピソード』
- 職務上のエピソードを記載すること(原則、学生時代のエピソードは記載しない)
- 得意分野/スキルを発揮するきっかけとなった問題・課題を記載すること
- 得意分野/スキルがどう発揮されたのかを記載すること
- 得意分野/スキルが発揮された結果どう良くなったかを記載すること
- 定量的に記載すること
少しわかりづらいかもしれないので後ほど例を交えながら良い例、悪い例を説明していきたいと思います。
以下に、記載例を示します。
●チームを纏めるリーダーシップ能力
最大30名程度の営業チーム統括としてリーダーシップを発揮した経験有。所属部署では、営業担当者毎の対応品質の差が大きく、顧客満足度も50%程度と低迷。私はチーム統括として手を上げ営業基本ルールを考案。また、ルール化による平準化、士気低下を避けるため、各担当者の強みは活かしたうえで基本ルール順守の必要性について説明するため毎日1時間程度を担当者の説得に時間を割いた。結果、担当者の強みを活かしつつスキルの底上げに成功し、約3カ月で顧客満足度80%を達成。
●課題解決力
課題設定から対策実行に強み。所属部署では、業務負荷が高く月平均残業45時間と長時間労働が問題となっていたが、日々の仕事に忙殺され状況を改善しようとする動きがなかった。私は、長時間労働の内訳を分析し、①無駄な会議の削減、②会議のための移動時間の削減、を課題として定め、対策として会議体の整理、オンライン会議の積極活用を社内で呼びかけた。その結果、無駄な会議、移動時間の削減に成功し、月平均残業10時間削減を達成。
●幅広いプログラミングスキル
Java, HTML/CSS, JavaScript, SQL, Python, Rubyに特に強み。その他の言語についても実装経験有。プロジェクトの期限が迫る中、多様なプログラミングスキルを駆使して、システムの大規模なバグ修正を実行し、予定より1週間早い納期達成とパフォーマンス向上に貢献。
上記文章を見て、「あまり何がポイントかわからなかった」という方のために丁寧に説明していきますね。既に理解いただいた方は読み飛ばしていただいても問題ございません。
まずは得意分野/スキルの選定に関してですが、
- チームを纏めるリーダーシップ能力:汎用的スキル、かつ、ソフトスキル
- 課題解決力:汎用的スキル、かつ、ハードスキル
- 幅広いプログラミングスキル:専門的、かつ、ハードスキル
となっており、バランス良く得意分野/スキルが記載されています。結果として、ヌケ・モレ・ダブリがない構成といえます。
また、具体的なエピソードについても見ていきましょう。
「なにが問題か?」→「得意分野/スキルをどう発揮して問題を解決したか?」→「その結果どう良くなったか?」の順に記載しており、しっかりとポイントを押さえているだけなく、問題→対策→結果、の順で記載することで読み手にとっても読みやすい文章となっています。
次に得意分野/強みの選定として悪い例を記載致しますので、それを見てより理解を深めていただければと思います。既に理解いただいた方は読み飛ばしていただいても問題ございません。
『悪い例』
●チームを纏めるリーダーシップ能力
●マネジメントスキル
●コミュニケーション能力
どこが悪いかわかりますか?
一見良さそうですが、全て社会人として必要な汎用的スキルかつソフトスキルであり、人事目線で見れば求める人物像にマッチした人材かどうか判断が難しくなります。また、リーダーシップ能力、マネジメントスキル、コミュニケーション能力はどれも「対人関係スキル」であり、ダブリがあり、得意分野/強みとしては網羅性がないと言えます。
また、得意分野/強みに「コミュニケーション能力」や「語学力」を記載する人がいますが、筆者としてはあまり推していません。(勿論、時と場合によります)
コミュニケーション能力はかなり曖昧なスキルであり、そもそも面接の場である程度推測できます。また、語学力に関しては、履歴書や職務経歴書にTOEIC等の定量的なスコアとして記載できるため、わざわざ得意分野/スキルに記載する必要がないものだと思います。
職務経歴詳細(全て合わせて2ページ程度に収まる文字数で配分)
職務経歴詳細は、在籍した会社ごとに以下の構成で記載していきます。
- プロジェクト名
- 期間
- 仕事の背景
- 成果
- 自身の役割と貢献
各項目ごとにポイントを記載(※期間は自明なので割愛)していきますが、長くなるので先に記載例を示します。
2021年4月~現在 X株式会社
2021年4月~2022年3月 営業プロセス効率化のための顧客管理ツール導入プロジェクト
【仕事の背景】
当時、会社の急成長に伴い、顧客情報管理が煩雑でデータが分散していたため、最新の顧客情報の共有・アクセスが困難となり営業機会が損失、売上が低迷していた。この問題を解決するために、社内では顧客管理の在り方を見直す必要があった。
【成果】
顧客管理プロセス刷新、顧客管理ツール導入により売上30%向上
【自身の役割と貢献】
主に、顧客管理プロセスの見直しのプロジェクト責任者として3名のメンバーを率いてプロジェクト推進。プロジェクト方針や進め方を決定し、各チームメンバーへ業務を割り振り、適切なタイミングでレビューを実施し、成果物の品質管理を徹底した。また、持ち前のプログラミング言語に関する専門知識を活かし、ツール導入チームと現場感を持って要件をすり合わせ円滑な導入にも貢献した。結果として、顧客管理プロセス刷新及び100名規模の営業部隊へのプロセス適用、顧客管理ツールの導入を成し遂げた。
では、各項目ごとにポイントを説明していきたいと思います。
プロジェクト名
一般化するのが難しいところではありますが、「①どの顧客に対して、②どのような手段で、③どのような価値提供をしたか/目指したか」をベースとして記載しましょう。こちらは必ず順守する必要はなくあくまで参考としていただければと思います。
以下に記載例を示します。
●金融業界向け / 顧客管理システムの導入による / 業務効率化プロジェクト(①/②/③)
●顧客体験価値向上に向けた / 商業施設用Webアプリ開発プロジェクト(③/②)
●スマホ用バッテリ寿命向上に向けた / 新素材開発プロジェクト(③/②)
●作業安全性向上のための / 工場生産ラインの事故件数減少に向けた取り組み(③/②)
●販路拡大に向けた / 物流業界への / 新規顧客開拓(③/①/②)
仕事の背景
なぜその仕事をする必要があるのか?モチベーションはなにか?がわかるような内容を記載する必要があります。いわゆる、目的に近いです。まずはプロジェクト名を決めたら、なぜそのプロジェクトを実施する必要があるのか?きっかけはなにか?を考えてみるとわかりやすいかもしれません。
例えば、社内的な内部事情(社内方針の転換、中期経営計画、顕在化した問題への対応、等)、もあれば、社外的な外部事情(政治情勢悪化、為替相場の変動、法規への対応、等)もあります。これらの切り口で背景を考えて見えてみるとわかりやすいかもしれません。
間違えても「なぜ山に登るのか?」「そこに山があるからさ」とはならないように注意しましょう!
背景の書き出しの記載例を以下に示します。
●近年の政治情勢の悪化からサプライチェーンの見直しが求められていた。~~~
●社内収益体質の改善のためにDX推進による業務効率化が急務であった。~~~
●少子高齢化による熟練技術者の不足への対応が必要であった。~~~
成果
自身のプロジェクトで達成したことを可能な限り定量的に記載しましょう。基本的には、さきほど記載した背景と整合性がとれるように記載するのが良いです。例えば、背景が「デジタル化の遅れにより業務の非効率化が発生していた」という内容であれば、成果は「業務効率化」になります。
以下に記載例を示します。
●業務プロセス改革による工数30%削減
●販路拡大により売上高10%増加
やりがちな悪い例としては、システム導入、チーム拡大、等を成果に記載してしまうことが挙げられますが、これらは手段であって成果(=会社にとってのうれしさ)ではありませんので気を付けてください。
自身の役割と貢献
仕事はほとんどの場合、複数人で実施していると思います。その中での自身の役割と貢献を記載しましょう。また、あわせてあなたの強みや個性が活かされた内容も盛り込むとより良いです。
『自身の役割』は、おおよそプロジェクト内での立ち位置、担当領域を記載すれば問題ないかと思います。
- プロジェクト内での立ち位置:リーダーか、担当者か
- 担当領域:商品Aか、商品Bか / 計画担当か、実行担当か、等
『貢献』は、自分の担当領域の成果を記載しましょう。こちらについての成果は、「プロジェクトの成果」とは異なり、手段になっていても問題ないです。なぜならあなたの成果があり、それがチームメンバーの他の成果と合わさることで、最終的な「プロジェクト成果」につながるからです。
以下に記載例を示します。
●チームリーダとして10名程度マネジメントを担当。持ち前のリーダシップを発揮し、メンバーとの密な成果物レビューによる品質管理で貢献。
●商品Aの売上高分析を担当。強みであるデータサイエンティストとしての経験を活かし、売上高減少の原因分析で貢献。
ご覧の通り、品質管理、原因分析、自体は「プロジェクト成果」ではありませんが、あなたの貢献がなければその先の「プロジェクト成果」には繋がりません。また、強みがわかるエピソードにもなっています。
その他の重要ポイント
あとひと踏ん張りです。今までに記載したポイントをしっかりと網羅できていれば基本は問題ありませんが、最後に100点まで完成度を上げるための重要なポイントを以下に纏めましたので是非ご覧ください。
- 応募先企業の求める人物像やスキルに合わせて記載すること。
応募先企業はほとんどの場合、求人の募集要項を出しています。そこには求める人物像や求めるスキルが記載されていますので、それに合致する人物であることがわかるように記載することが重要です。 - 可能な限り解像度高く、定量的に記載すること。
解像度は高ければ高いほど良いです。誰にでも当てはまりそうな抽象的な内容だと、読んでいてもあまり良い印象を与えることができません。文章自体の解像度を上げることは勿論ですが、数字を加えることでより人事担当者もイメージしやすくなるでしょう。
(例:大規模なチームを率いて ✕ → 30名程度のチームを率いて 〇) - 完成したら、応募先企業の人事の目線になってセルフチェックする。
自己満の文章になってはいけません。あくまで人事部の人の気持ちになってみて、客観的に欲しい人材になっているかを入念にチェックしてください。
おまけ:職務経歴書をより効率よく作成するために
いざ職務経歴書を作成しようとしても、転職活動を頻繁に実施している方でなければ過去の職務内容を思い出せない、という方も多いと思います。そうならないためにも、職務経歴書は定期的に作成・更新しておくことをオススメします。
筆者の場合、基礎となる職務経歴書を作成し、随時更新しています。この基礎となる職務経歴書から、応募先企業に応じて情報をそぎ落としたり適宜修正しています。なので、基礎となる職務経歴書は長くても良いので可能な限り具体的に書くことが重要です。
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